『月がきれい』『結城友奈は勇者である』などの人気作品を手がけるアニメ監督岸誠二氏とシナリオライター上江洲誠氏、音響監督飯田里樹氏によるトークセッション

0722_anime0110年以上タッグを組み、数々の人気作品を生み出してきた3人が語るアニメ業界のリアルな姿

2017/7/22(土)、アニメーション監督の岸誠二氏と脚本家の上江洲誠氏、音楽監督の飯田里樹氏によるトークセッションが行われました。お三方は2017年に放映された「瀬戸の花嫁」でチームを組んで以来、10年にわたり多くの作品を一緒に手がけてきた仕事仲間。当然息もぴったりで、最初からアップテンポなトークで会場を大いに盛り上げていただきました。

0722_anime02セミナーは上江洲氏の司会により、事前に寄せられた学生の質問にそれぞれがお答えいただくQ&A式で進められました。今回はその中から、特に印象に残った回答をご紹介します。

0722_anime03まずは、岸氏への「アニメ監督になるために、必要な素質は?」という質問。岸氏からは、「コミュニケーション能力です」とズバリお答えいただきました。「監督という仕事は、少なくとも100人、多い時には1000人にもなる現場の人間を目的地に導くための船長のようなもの。現場にはプロが集まっており、当然それぞれの考えや主張をもっていて、意見がぶつかることもあります。そんな時に、“今回の作品はこういう主旨、目的をもって作っています。だから、こうして欲しいんです”と話せるように。スタッフ全員に納得してもらえるコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力が重要なんです。だからこそ、この仕事をしていくためには、精神的にも体力的にもタフさが必要。タフでないと生き残れないと思います」と熱く語っていただきました。

0722_anime04上江洲氏へは、「シナリオライターになるために、必要なスキルは?」という質問が。
これには「何でも知っている必要があります」と上江洲氏。「アルバイト、勉強、恋愛、友達関係、親子関係など、人が生きていく上でのすべてにアンテナを張っておくこと。そして、面白いものを書くためには自分の体験だけでは全然足りません。自分の嫌いなジャンルでも関係なく、本もマンガも映画も音楽も、圧倒的な量を、とにかく読む、観る、聴くことが大事です。たとえプロになれたとしても、10年以上この仕事をしていると、どうしてもアイデアがつきそうになる。その時に、自分の引き出しを増やし続けてきた人が最終的に生き残れるのだと思います」と、生涯幅広く学び続ける、吸収し続ける向上心の大切さを教えていただきました。

0722_anime05飯田氏へは、「音作りのコツを教えてください」という質問が。「まず、この作品を見るのは誰かというターゲットをしっかり捉えること。そして大人向けなら高級感のある音質、女の子向けならキャラのセリフをメインにするなど、見てくれる人が満足してくれる音作りをするように心がけています」との回答。さらに「それぞれのシーン、シチュエーションにぴったり合った音楽を考えることも大きなポイント。たとえば、ハンバーガーショップのBGMのテンポが速いのは、単価が安いのでお客様の入れ替えを促進するため。反対にデパートのBGMのテンポがゆっくりなのは、ゆっくり見て買い回りしていただくため。いつ、どんな音を流すかには必ず理由があり、つまりそれが音響演出といえます。監督や脚本家になるために読書量が必要なように、日常の中の音をどれだけ知っているかということが、音づくりにはとても大事なことなのです」と、大変興味深い話をしていただきました。

最後に一言
「いろんな経験をしてください。経験が恐ろしいほどのチカラになります」(岸氏)
「自分も話しながら新しい発見がありました。ぜひこの業界にきてください」(上江洲氏)「風邪をひいたら周りにイラッとさせてしまいます(笑)。体調管理に気を付けて」(飯田氏)と、それぞれの温かいお人柄が伝わってくるようなメッセージをいただきました。

セミナー後の個別指導でも楽しく和気あいあいとお話しいただき、学生にとって非常に貴重な学びの場になりました。

0722_anime0614歳の頃の夢が現実に。
思い続けることは何より強い

チームティルドーン代表
アニメーション監督
岸 誠二氏(写真中央)

アニメ・マンガ好きの少年時代を過ごし、中学生だった14歳の頃には、作品に自分の色を出したり、やりたいことが実現できそうなアニメーション監督になりたいという夢を抱いていました。私には師匠もいないので、自分で企画を立て、いろんなところでずっと手を挙げて監督します!と言い続けてきたんです。根拠のない自信だったかもしれませんが、そこから仕事を獲得してきて今現在があります。恐れていては何もできない。やりたい、なりたいことを強く思い続け、行動することが一番大事なことです。

チャンスがきたときに
手を挙げることが大事

シナリオライター
上江洲 誠氏(写真右)

ものづくり、表現することが好きで、大学在学中にパソコンを手に入れてゲームやアニメ、写真や絵、私小説などをたくさんつくって発表していました。ブロガーやユーチューバーの走りといえるかもしれません。そうしているうちにプロの作家さんに発見してもらい、東京に行って仕事をするようになったんです。成功するためには何かチャンスがきたときに、たとえ自分に向いてない、自信がないと思っても「はい、やります」とまず手を挙げることが大事。そしてちゃんとできれば尚良し。それができるように、日頃から自分を磨いておくことです。

人生何が起こるかわからない。
好きなことと、その周辺に関心を

音響監督
飯田 里樹氏(写真左)

子どもの頃からアニメが大好きで、高校の映画研究部でセル画のアニメ作品を自主制作していました。実写版の映画にも興味をもち始め、映画監督になりたいと思ったのですが、当時はハリウッド映画全盛期。日本の映画業界にとって厳しい時期でしたので、テレビの制作会社に入社しました。その会社では子ども向けアニメも制作していて、音響の仕事が増えてきたのですが、社内に音響ができる人が少なかった。そこで私がやります、と手を挙げたことが始まりで、今があります。人生、何が起こるかわからない。好きなことだけでなく、その周辺のいろんなことに関心を持って勉強することをおすすめします。

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