”全国民にプログラミングを学んでほしい” バラク・オバマ アメリカ合衆国大統領

2015.2.16

CATEGORIES:海外


 
”全国民にコンピュータソフトウェアプログラミングを学んで欲しい”

バラク・オバマ アメリカ合衆国大統領のスピーチです。衝撃を受けました。

”ゲームソフトやスマートホンアプリを買うのではなく、創って欲しい”
”コンピュータソフトウェアプログラミングを修得すれば、きっとずっとあなたの役にたつ”

パッケージ・コンテンツとしてのゲームソフトや、データベースのプロダクトとしての価値よりも、これらを用い、ユーザに向けいかなるサービスを提供できるのかが大きく問われる時代となりました。これらサービス提供形態の主力はもちろんWeb、クラウド、ネット等と呼ばれるICT。
 
あらゆるビジネスが広義な意味でソフトウェア化されてきていること、ここへの注視を国のトップが呼びかけていることに強く感銘を受けました。

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砂漠に現れる7日間だけの都市 バーニングマンを再考する

2014.12.22

CATEGORIES:海外

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本夏、2年ぶりにバーニングマンへ。 今回はpixiv代表の片桐さんをはじめ神戸と東京のキーマンと呼べる皆さんとの8人で参加し、中々に濃い時間を過ごしました。

さて、「バーニングマンって何?」という方のために簡単に解説をしますが、これがとても難題です。誤解を招くことを覚悟で言うと、アメリカの西部、ネバダ州の荒涼とした砂漠に一週間だけの街を築き、7万人に迫る人々が資本主義・貨幣経済の価値から脱して生活を共にし、最終日には街の象徴となるアート作品を燃やして無に返す、跡形もなく消えてしまうアート・イベント。

正直、何を言っているのかサッパリですよね。でも、実際に足を運んで、その目で確かめた人も「バーニングマンが何であるのか」、うまく咀嚼できる人はそういないはずです。それほどバーニングマンは特有の体験であり、もうバーニングマンとしか言いようがない……。

会場となるネバダ州のブラックロック砂漠は、電波も通じず、電気も水道もガスもない、アルカリ性の砂塵が舞う荒れ地です。何にもない場所に期間限定の街がポッと現れ、そこへ世界各国からアーティストや経営者、文化人にダンサー……多種多様な人々がやってくるわけです。Facebookの創業メンバも参加し、amazonの会長はここで結婚式を上げ、電気自動車のTESLAモータースを成功させたイーロンマスクもここへの道中に太陽光発電を意識したとのこと。世界を席巻するサービスやプロダクトを創っている人々が集まっているんですね。このイベントの主催者側が用意してくれるのは、自然環境保護のための仮設トイレと、食料の鮮度を保つための氷のみ。それ以外のすべてのもの、生命を維持するための水や食料、昼夜の寒暖差に耐える衣類や燃料、激しい砂嵐から身を守る住居などを、自らの責任で用意しなければなりません。本当のサバイバルです。

それでも、ここに集まる人たちの多くは、自分のパフォーマンスやアート作品のために、大量の音響機材や巨大な火器等をトラックに積み込んでやってくる。もちろん、資材やそれを運ぶ交通費は自分もちで、一週間にわたり、信じられないほどの手間をかけて非日常的な世界をつくるのです。

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誰かが巨大なインスタレーション作品を創作しているかと思えば、その隣では素っ裸のダンサーが踊っている。ハンモックで寝そべりながら真剣な表情でディベートが行われる一方、レーザーや電飾の光を暗闇に照らしながら夜通しで大騒ぎをしている。目に映るすべてが普段の生活とは乖離していて、思わず目がクラクラするほどの異世界が、そこにはあります。

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バーニングマンの大きな特徴のひとつに、「お金を使うことができない」というルールがあります。ここでは1万円もただの紙切れ。何日目だったか、同行者のひとりがトイレに行く途中、「これで拭きな」と10ドル札を渡されたのだそう。ここではお金があっても、何ひとつ手に入れることができないのです。

その代わりに、バーニングマンの世界は、何をするにも「ギブアンドギブ」の精神で成り立っています。僕らは味噌汁を振る舞う知人のキャンプで過ごしたのですが、お金は一切いただきません。普段は高価なチケットを買わなければ楽しめないアートや音楽も無料で楽しめます。要するに、お金に頼らず、互いが与え合うなかで社会生活を成り立たせよう、という試みなのです。贈与経済の社会実験場といえるかもしれません。

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バーニングマンの根底には、「NO SPECTATOR(傍観者になるな)」という合い言葉があります。自分以外のすべての人々を楽しませるために行動しろ。世界をまたにかけるミュージシャンも、ニューヨークの会社員も、神戸の学校長も関係なく、みんなフラットな立場のエンターテイナーとなって、自分以外の者を楽しませる。利益も、地位も、名声も、外の世界に投げ捨てて、どうやったら残りの6万9999人を楽しませることができるのか。それだけをみんな考えているのです。

そんなバーニングマンの終わりは、唐突に訪れます。イベントの由来ともなっている巨大な木製の人形「MAN」を焼くことで終焉を迎えます。7万人の参加者が見守るなか、MANに火が着けられ、大きな炎をあげて散ってゆく光景は、ひとつの世界の終わりを感じさせるほどです。豪快に、荘厳に、そして、あっけらかんと燃えていく。MANが灰と化し、東の空が明るんでくるころ、「また来年」と言って人々は現実の世界へと帰ってゆきます。

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そして、ひとつのゴミも残さず人々が消え去り、荒涼としたいつもの砂漠の風景に戻るのですが、その変様ぶりは、まるで幻を見ていたかのよう。しかし、参加者は心の傷を負ったかのように鮮烈な感情を刻み込む、それがバーニングマンです。

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うーん、僕の説明では、これっぽっちもバーニングマンのリアルを表現できている気がしません(笑)。今年の参加者で、報告会をやりましたのでその様子もまたお知らせします。そこに参加された在校生の保護者の方が、次回参加を決意しておられました。まず必要なのは「自分がバーニングマンを楽しませてやろう」という心意気。人生を変える7日間というものが有るとすれば正にの集約点にあなたも参加してみませんか。傍観ではなく。

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ポートランドにみる“これからの都市”のあり方(後編)

2014.10.6

CATEGORIES:海外 ,神戸

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さて前回に続き、米国のクリエイティブな都市、ポートランドを訪れた経験から“これからの都市”のあり方についての所感をお届けします。

前編で書いた通り、ポートランドは“身の丈主義”を通じて、日常の暮らしに豊かさが溢れていました。生産者から食卓までミニマムな流通経路を用いた地産地消が確立され、職人から一般家庭まで自分たちでつくれるものは何でもつくるDIY精神が根付いています。大量生産・大量消費が主だった暮らしは、過去のものになり、いま、新しい時代の暮らし方のモデルケースとして、ポートランドが世界中から注目を集めています。

でも、僕が強く思ったのは、ポートランドの暮らしって、ひと昔前の日本には、当たり前にあった、ということ。地元の食材を近所の商店街で買い、日用品は個人経営の荒物屋で手に入れる。着られなくなった服は雑巾にして再利用し、ちょっとした家具なんかも釘とトンカチでつくっていた。経済の発展とともに、必要でないものまで買うようになり、古くなったらすぐ捨てる。そんなサイクルが主流になりましたが、人の暮らしというのは元来、自分の手の届く範囲で完結させるのがもっとも心地よく、無駄のない生活なんじゃないでしょうか。

今、そんな暮らしを人々は求めているんだと思います。大量生産・大量消費の渦に飲み込まれ、お金や価値観をすり減らし続けることに疲れてしまったのでしょう。もっと物事の本質的な価値を重視し、均質に与えられるものではなく、“自分にとっていいもの”を求めることが理想になりつつある。だからこそ、ポートランドの身の丈主義な街のスタイルが、今もっともカッコよく映るんだと思います。余談ですが、テレビ番組の「ザ!鉄腕!DASH!」(日本テレビ)が人気なのも、身の丈主義の豊かな暮らしを手づくりしているからではないでしょうか。こんな生活うらやましいなぁ……と思いながら観ている人も多いと思います。

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今回の出張のなかで考えていたのは、ポートランドのスタイルを神戸の街にいかに取り入れるか、ということでした。神戸には魅力的なモノやカルチャーがたくさんありますが、まだまだそれを活かしきれていない。それは均質化されてしまった都市に、神戸の街がもつ「らしさ」が埋もれてしまっているからでしょう。これは文化的な話ですが、東京一極集中の波が衰え、各地方都市のアイデンティティー、特色化が強く求められる昨今ですが、神戸の街がより豊かになるためには、今後、身の丈で考える街づくりが必要になると感じています。

幸い神戸には、神戸ビーフを代表とする畜産部やや新鮮な海産物に農作物など、上質な食材が抱負に有ります。また、居留地に見られる西洋文化や、南京町のチャイナタウン、在日インド人のコミュニティと、多様なカルチャーが混在し、ジャズやコーヒー、スイーツ、それにファッションなど、海外の文化をいち早く取り入れ国内に発信してきました。これらの強みを活かしながら、神戸の街が成長していけるとベストだと思います。神戸でしか味わえない料理、神戸でしか買えないもの、神戸でしか体験できない暮らしが、街の隅々まで浸透していったなら、素晴らしいことだとは思いませんか。

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そんな街づくりのなかで、神戸電子は一体何ができるのか、というのも重要なことです。ポートランドには「Pacific Northwest College of Art(PNCA)」というアートカレッジがあります。PNCAで生み出されるアートやデザインが街の暮らしへと浸透し、人々を豊かにしている。いわばポートランドのクリエイティブを担う拠点です。これを神戸電子で実現するのが僕の野望のひとつ。神戸電子から生まれる新しい発想や技術が、神戸の街と結びつきながら、近隣の人々の暮らしに役立つ。ポートランドの出張を通じて、あらためて神戸電子の掲げる“地域密着”が鮮明になったように思います。

最後に、ポートランドで感じたのは、ひとつの家族のような小さな共同体の強さです。神戸の街も、そんなコミュニティを築ければいいなと。いや、この記事を読まれた皆さん、ぜひ一緒に神戸をそんな街にしていきましょう。

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