8/24 (月)10:00~

デジタル・フロンティアによる劇場アニメ「バケモノの子」CGメイキングセミナー開催

映画『バケモノの子』のCGはどのようにしてつくられていったのか。イメージづくり、制作テクニックなどメイキング工程を詳細に解説!

2015/8/24(月)、デジタル・フロンティアのCG制作本部ディレクター・堀部亮氏にお越しいただき、3DCG・アニメ業界セミナーを開催。7月に全国ロードショーとなった細田守監督作品『バケモノの子』を題材に、どのようなところにCGが使われ、どのように制作されているのか等を詳しくご解説いただきました。
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監督・脚本・原作:細田守
スタジオ地図作品
©2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS

映画のCG制作は、まず監督が描いた絵コンテをもとにスタートします。細田監督の絵コンテは非常に緻密で、細かな指示が書き込まれているので、制作する側としてはとても理解しやすいとのことです。どこにCGを使うかも、絵コンテ段階でほぼ決まっていると言います。そして、監督のイメージを実体化するために、いろいろな画像を集め、それらを参考にしながら方向性を探っていきます。たとえば、クライマックスシーンに登場するクジラの制作にあたっては、「発光するクジラが幻想的に跳躍する」という監督のイメージに基づき、水族館のクラゲ、発光プランクトンが光る様子などをヒントに表現したとのこと。美しい映像の裏側には、多くの想像力やリサーチ力が息づいていることがわかります。

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また、『バケモノの子』のCG制作で特に大きなウエイトを占めるのが、モブ(群衆)の表現です。「この映画は渋谷が舞台。ちょうど私たちの会社も渋谷にあるので、実際に渋谷のスクランブル交差点で写真を撮り、どんな年代の人、どんな服装の人がいるのかを研究した」と堀部氏。そこから100体ぐらいのモデルをつくり、髪型・服装・持ち物などのパーツを分解して、それらを組み合わせることでバリエーションをふやし、最終的に300体ぐらい制作したと言います。大勢の人が登場するシーンでは、似ているキャラクターが近くに出てこないように、動きも重ならないようになど、細かくチェックしていったという徹底ぶり。セミナーの最後には、今日のためにつくったというメイキング映像をまとめたPVも披露してくださり、堀部氏のCG制作にかける情熱がたっぷり伝わってきました。

セミナー後は、同社大阪事業所 所長の田尻氏も加わり、個別に作品を指導いただきました。学生たちにとって貴重な経験なりました。
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学生時代はいろんなものを見てストックをふやそう。本当の訓練は社会に出てから!

株式会社デジタル・フロンティア
CG制作本部 ディレクター
堀部亮氏

参考画像の収集やイメージの具現化は監督の絵コンテを見てからスタートします。ただ、1度見たものがあとあと何かの役に立つということは充分あり得ます。時間がある学生の間に展覧会に行ったり、映画をいっぱい観ておくなど、ストックをふやしておくことは大事だと思います。とはいえ、仕事をしながら訓練されていく部分も大きいので、学生の間に出来上がっておく必要はありません。社会に出てから興味の幅を広げたり、スキルを磨いていけばよいのではないでしょうか。CG制作は「楽しそう」だけではできない、根気のいる仕事です。だから、ヤル気があることが一番。デジタル・フロンティアでは大阪支社が始動し、現在スターティングメンバーを募集中です。関西方面でCG制作に携わりたくてウズウズしている人は、ぜひチャレンジしてください。

関連リンク

デジタル・フロンティア公式サイト
『バケモノの子』公式サイト
3DCGアニメ―ショーン学科

協力

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