竣工検査立ち会いで学ぶ 建築のノウハウ

2015.3.12

CATEGORIES:国内 ,学校・教育

220kobedenshi-97

神戸電子本館のすぐ山側(北側)、ホテル北坂プラザ六甲荘の正面に、神戸電子の新しい寮「北野ドミトリ」が完成しました。4階建て全50戸の男子寮です。

建物が完成する際、施工会社と工事監理者、施主によって、建築に不具合がないかを調査する、竣工検査というものがあります。これを通過せずに建物を施主、つまり依頼人に引き渡すことはできません。北野ドミトリーでは2月20日に竣工検査が行われ、そこに建築インテリアデザイン学科の学生諸君が立ち会いました。
 
検査当日は設計や工事をしていただいた和田興産(株)、(有)大土呂巧建築設計事務所、(株)村上工務店の方々が来校。北野ドミトリがどのような設計思想で建てられたのか、竣工検査前に執り行われた消防検査などの報告がありました。入れ替わり立ち替わりで説明を行う方々はすべて建築業界のプロであり、学生諸君が歩む道の先にいる先輩でもあります。竣工検査前の説明会の段階から、学生たちの目は興味津々。資料にメモをとりながら、集中して説明を聞いていました。
 
220kobedenshi-1
 
220kobedenshi-34
 
説明会の終了後、いよいよ一同は北野ドミトリーへ足を踏み入れます。学生たちは2班に分かれ、居室とエントランス、非常階段などを巡りました。検査項目には定められた法規を満たしているかも多く含まれています。たとえば採光。窓から入ってくる光に対してもルールがあり、部屋の床面積の大きさにより、どれくらいの大きさの窓がどの方角に必要であるかが計算されています。また、ユニットバスも、湯船に水を張った状態から栓を抜き、すべての水がなくなるまでの制限時間がバスタブの大きさによって細かく設定されています。普段の生活では気づかないことが多い細かな制約の数々。「この部分は……」とそれぞれに入る解説にたいし、学生たちはベランダの外側を覗き込んだり、実際に扉の開閉などを試してみたりと、積極的に関わっていました。
 
220kobedenshi-87
 
220kobedenshi-49
 
設計面でも、多数のルールが存在します。寮やマンションのような集合住宅は、排水パイプなどの配置が特に重要で、生活の邪魔にならず、かつ機能を十分に果たす位置に通さねばなりません。図面を引く際は各部屋の間取りとともに、排水や電気関連の導線をどこに通すかを考える必要があります。今回、施工図面作成に関わったひとりが、入社2年目の女性。学生たちと年齢の近い方が、第一線で活躍しています。彼女の年齢を聞いた学生たちからは「すごい……」と、たじろぐような声も漏れました。プラン作成とプレゼンテーションでは、セミプロレベルの学生諸君も、実際にアイディアをカタチに、つまりものを建てているプロには線の向こう側の何かを感じたようです。卒業後間もなくこうならねば、と触発されたみたいですね。
 
ひとつ一つの施工に設けられた厳しい基準、時には図面に合わせて、壁の厚さや換気口の穴の位置をミリ単位で調整しなければならないことなど、座学でも多少の想像はできますが、実物を前にしての学びは深いものがあったのではないでしょうか。
 
220kobedenshi-95
 
都市生活において、人は寝ているときも、まちを歩いているときも大抵、なんらかの構造物に囲まれて生きています。そして、住居とは、我々が生きる上でなくてはならないもののひとつです。人間にとって必要不可欠なものをつくる能力があるというのはすばらしいこと。建築インテリアデザイン学科の諸君、以後は竣工検査でもって検査される側に立っするわけです。今回見聞して得たことを忘れずに、是非活かしていってください。

pagetop