ポートランドにみる“これからの都市”のあり方(前編)

2014.9.9

CATEGORIES:海外 ,雑記

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去る6月の3日から7日にかけて、アメリカ北西部にあるオレゴン州のポートランドへ行ってきました。ポートランドと聞いて「おっ」と思った方は、都市デザインや環境設計について関心の高い方ではないでしょうか。

ポートランドは「アメリカで最も住みやすい都市」に選ばれ、とくに35歳以下の若い人にとって、いま一番アツい街といわれています。今年に入り、日経ビジネスやブルータス、ポパイ等国内の雑誌でも集中的に特集されていますね。
その魅力を紹介した吹田良平さんの本『グリーンネイバーフッド―米国ポートランドにみる環境先進都市のつくりかたとつかいかた』(発行:繊研新聞社)に出会ったのが3年ほど前。昨年神戸モトマチ大学の有志で視察を組んだのですが私は行けず、今年やっと念願が叶いました。実際、街のスタイルといい、そこで暮らす人々といい、ポートランドの街はあまりに魅力的でした。ポートランドで見聞きした街づくりから、“これからの都市”のあり方について、2回にわたって所感をお伝えしようと思います。

そもそも、なぜこれほどまでにポートランドが人気なのか。その答えは“身の丈主義”にもとづいた街の独自性にあります。これだけではピンとこないと思うので、日本の街と比較しながら、もう少し詳しく説明しましょう。

たとえば食べ物でいうと、日本はどこに行っても全国チェーンのお店が建ち並んでいますよね。神戸でも東京でも、はたまた北海道でも同じ味が提供されます。便利といえば便利なのかも知れませんが、それは独自性のない均質化されたもの。ポートランドは人口あたりの割合で、世界一レストランの多い都市です。チェーン店はほとんどありません。お店の多くが個人や地元の小さな会社によって経営され、お店ならではの味や空間、サービスを提供しています。消費者も、大量生産品や輸入食品に頼らず、自分たちが納得できるものを、自分たちの目や手の届く範囲で受け入れる。その最たるものが、「地産地消」の活発さでしょう。 ポートランド近辺には農家がいくつもあり、新鮮な食材を街へと卸しています。エスニック料理など輸入食材を扱うお店でも、オーナーが現地できちんと買い付けを行うなど、食材ルートの“見える化”がしっかりしています。

日本のスーパーでも「近隣農家の○○さんがつくりました」といった野菜や果物が並ぶようになりましたが、最近、世間を騒がせた海外の期限切れ食肉問題などを見ると、日本の食に対する現状はまだまだ不安です。生産者と消費者の距離が遠く、自分が口にしている食べ物が一体どこから来たのかが分からない、という問題が起きています。東日本大震災やTPPをきっかけに、日本国内でも地産地消や週末農業など“自分の目の届く範囲のものを食べよう”という傾向が強まっていますが、そんな動きをいち早く取り入れ、実践してきたのがポートランドです。街のシンボルとなっている「ファーマーズマーケット」は、地元の生産者や農家が集まり、消費者と対面で販売するスタイルの市場です。鮮度の高い安全な食材を提供できるだけでなく、収入の大部分が生産者に還元されることで、良質な食材の持続的な生産が可能になっています。実際、ファーマーズマーケットのひとつに足を運んだのですが、市場に並んでいる野菜の色合いの力強さにしびれました。

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“身の丈主義”としてもうひとつスゴイなぁと思ったのは、家具でも小物でも、つくれるものはとにかくDIYしてしまうところ。ポートランドの街を歩いていると、いたるところで工房やアトリエを見かけます。廃材を使ったカトラリーショップ、アンティーク家具をリメイクしたセレクトショップ、あらゆるパーツをオーダーできる自転車工房……と、枚挙にいとまがないほど。さらにリサイクルショップに行くと、テーブルや棚はもちろんですが、なんとトイレの便器やバスタブまで売っているのです。いまの日本なら、バスタブが古いから交換しようとなったとき、リサイクルのバスタブを買うなんてまずあり得ないですよね。工務店や施工業者を呼んで、つくり置きのユニットバスを風呂場にはめ込んで終わりでしょう。

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ポートランドでは“街の人”がつくった、あるいは使った家具を、余すことなく“次の街の人”が使う。石鹸も、お皿も(もちろんそこに並ぶ食材も)、テーブルもソファも、はたまた家さえも、みんな“Made in Portland”。この姿勢には、本当に感心しました。

ここで前編終了です。どうでしたか? 今回は、ポートランドという街の魅力について書きましたが、次回は、ポートランドで感じたことを神戸という街に置き換えて考えてみたいと思います。

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コンピューターに望む在るべき姿 ー Knowledge Navigator ー

2011.11.12

CATEGORIES:雑記


 
1988年、アップル社 が世に提示した、コンピュータの未来コンセプト ” ナレッジ・ナビゲーター ”。
 
小学生だった1970年代、シャープ製の MZシリーズ を実際に見、パーソナルコンピュータの存在とその小型化の流れを感じました。その後、アラン・ケイ がすでに示していた ダイナブック 構想は知識として知りましたが、ナレッジ・ナビゲーターの提示はビデオ映像だったことも有り、ぐっと来ましたね。先日実施したセミナーで久々に見、その時の胸の高鳴りを思い出しました。当時、アップル・ディーラーにダビングを求めましたが叶いませんでした。You Tube にアップされているとは。
 
擬人化されたナビゲーターやエージェント機能の実現は、コンピュータの進化を追っている人全ての願いではないでしょうか。先日発売された iPhone 4s の音声認識及び発信機能、まだ英語版だけのようですが、デモを見て随分近づいたものだと思いました。手足の不自由な方や、その家族は期待を寄せていることと思います。私もウォッチし続けています。
 
これらの前段階として、FacebookのようなSNSと、メーラーやスケジューラー機能を持ったグループウェアは、そのインターフェースを統合してほしいですね。あれもこれもと操作方法が変わることをユーザは望んでいない筈です。いやしかし、変化こそがコンピュータの強み。だからこそこういった問題を埋めてくれるのもエージェント機能でもある。となるとやはり早くして頂かねば。
 
それにしても虹色のリンゴマーク、いいなぁ。

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友人探訪記。AR(拡張現実)に専門特化、アララ株式会社 岩井社長

2011.10.12

CATEGORIES:国内 ,雑記


 
出張に合わせ、古い仲間を訪ねてきました。向かった先は東京、青山通。青山ツインタワーの裏手、1階にWIRED カフェ系列のすてきなお店が入ったビル。
訪ねた主は大阪府堺市出身、岩井陽介、46歳。
昨年、スマートフォンのカメラをかざすと、実写映像に加え、CG画像や付加情報が浮かびあがって見えるAR(拡張現実)に専門特化した アララ株式会社 を立ち上げ、その代表取締役を務める。
1998年、共通の友人と共に、携帯コンテンツ・サービスの牽引企業 サイバード株式会社 を立ち上げた後、2006年独立、電子マネー機能を併せ持ったギフトカードを提供する 株式会社レピカ を立ち上げた。までは把握していたのですが、ザ・未来の典型とも言える AR を手がけていたとは。メディアミックスが進む時代のプロモーション、今思えば現サイバード堀社長と彼とで運営していた学生企業の時からそれを牽引する芽は在ったなと。
 

 
広義な意味でのソーシャルと、メディアミックス、そしてそれらを存分に意識した機能が実装された携帯端末の活用は、ITの活用領域において重要なキーとなってきています。
岩井ちゃん、ここしばらく先駆者としてのレクチャーお願いします。

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