世界に羽ばたく「anime」の祭典 第19回アニメーション神戸

2015.2.19

CATEGORIES:国内 ,学校・教育 ,神戸

『アニメ大国』日本。その日本のアニメカルチャーがこの先もずっと成長し続けていくには、新人クリエイターの存在が不可欠です。神戸では年に一度、商用アニメのアワードと、アニメ人材の発掘、育成に取り組む催しが行われています。それが今回紹介する「アニメーション神戸」です。
 
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「アニメーション神戸」は、神戸での新産業創造振興とアニメを中心としたクリエイターの人材育成を目的としてはじまったイベントです。今回でじつに19年目。今でこそアニメやマンガは、日本の文化のひとつとして世間からも広く認知されていますが、「クール・ジャパン」という言葉が広まるずっと以前から、神戸は日本のアニメーション業界の発展に尽力してきました。宮崎駿さんを世界で初めて表彰したのは神戸市だったんですね。実行委員長は声優の神谷明さんを招き、僕も今では最古参の委員となってしましました。
 
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催しのメインは、優れたアニメ作品やアニメーション業界に貢献したクリエイターなどを表彰する授与式です。

今年は「Persona4 the ANIMATION」や「ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 THE ANIMATION」の監督を務められた岸誠二氏が個人賞を受賞。特別賞は京都アニメーションが受賞しました。「けいおん!」や「Free!」は、作品の魅力もさることながら、作品の舞台を巡る「聖地巡礼」の代表格として、地域振興に貢献しました。作品それ自体を表彰する作品賞には「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語」「ラブライブ!」がノミネート。「魔法少女まどか☆マギカ」は社会現象ともいえる人気を巻き起こしたことは記憶に新しい人も多いはず。その完結編ともいえる劇場版の上映は、各方面で大きな話題を呼びました。
 
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また、主題歌賞には、「シドニアの騎士」オープニングを歌うangelaのふたりが選ばれました。angelaは第8回目のアニメーション神戸でも主題歌賞を受賞。「再びこの場所に立てて嬉しい」と仰っていました。受賞式のあとは受賞曲のライブパフォーマンス。会場は一気に盛り上がり、スタンディングオベーションの大喝采。参加者の方々が手を挙げてコールする様子は、アニメーション神戸というイベントの成長を実感させてくれるものでした。
 
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さらに、今年は公募部門にて、神戸電子の学生が表彰を受けました。公募部門は、若手クリエイターを含めた一般公募の作品のなかから優秀作品を選んで表彰されます。そのなかで、アニメーション神戸の「公式ロゴタイプ」のコンペに、グラフィックデザイン学科1年・小田垣玲さんの作品が選ばれました。ポートタワーをモチーフにした可愛らしいデザインです。ロゴタイプは公式サイトや会場のスクリーンに使用され、その年のイベントの顔になります。

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じつは、アニメーション神戸のロゴタイプを制作するのは例年グラフィックデザイン学科の授業のひとつになっています。過去にも何度か神戸電子の学生たちがコンペを勝ち抜いています。こうして神戸のクリエイティブなイベントで活躍してくれるのは本当に嬉しく、誇らしくもあります。
 
表彰状と盾の授与は、実行委員長の神谷さんから直々に渡されます。受賞それ自体が名誉なことですが、「キン肉マン」や「北斗の拳」の主人公を演じる“あの人”から授与してもらえるなんて、とても素敵なことですよね。小田垣さんの学生生活やクリエイターとしての人生はまだはじまったばかり。受賞をきっかけに、さらなる成長を遂げてほしいと思います。

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さて、アニメーション神戸は阪神淡路大震災の翌年からはじまったイベント。震災復興の一環としての側面もあります。地震の爪痕が残る街から芽吹き、こうして途切れることなく20年目を迎えようとしていることは、とても感慨深いものです。これからも神戸の街が、世界にまたがる「anime」の発信地であり続けられるよう、その一助を担いたいと思います。
 
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次回は、大きな節目となる20年目。どうぞお見逃しなく!

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「若年者ものづくり大会」で見事優勝! ブラジル世界大会出場決定!

2015.1.24

CATEGORIES:国内 ,学校・教育

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神戸電子には、各方面で活躍する自慢の学生がたくさんいます。今回は、2014年の夏に行われた「第9回 若年者ものづくり競技大会」のグラフィックデザイン部門で優勝をおさめ、今夏、ブラジルで開催される「技能五輪国際大会」へ日本代表として出場が決まった学生とお話をしました。

————:まずは「技能五輪国際大会」への出場おめでとうございます。学校の顔としてはもちろんですが、今回はさらに日本を背負うことになりますね。頑張ってきてください。さて今日は、その前哨戦となった「若年者ものづくり大会」の内容と、稲継さんが学校でどのように学んで過ごしてきたのかを教えてください。最初に簡単なプロフィールをお願いします。

稲継:稲継真子と申します。グラフィックデザイン学科の2年生です。出身高校は兵庫県県立三木東高校学校。趣味は絵を描くこと、あとは裁縫など、ものづくり全般が好きです。

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————:稲継さんがグラフィックデザインを学ぼうと思ったのはなぜですか?

稲継:もともと絵を描く仕事に就きたくて、小さいころからずっと絵を描いていたんです。でも、絵を描くことだけで仕事ができるかと言われると、それは難しそうで……。デザインをきちんと学んでいれば、将来、絵を描く仕事をするうえでも大きな強みになるんじゃないかと思い、デザインを学ぶことを決めました。

 

————:なぜ神戸電子を選んだのですか?

稲継:いくつか進学先の候補があったので、高校生のころに複数のオープンキャンパスへ行きました。ある学校は、雰囲気はとっても楽しそうで「いいなぁ」と思ったんですけど、就職をはじめ将来に繋がる可能性を考えたら神戸電子のほうがいいなと。最後は直感です。不思議なんですけど、わたしはなぜか「何となく神戸電子に行くだろうな」と思っていました。たぶん、学校全体にただよう真面目な雰囲気がわたしには合っていたのかもしれません。

————:それは、うれしい。直感というのは本当に大事ですよね。

————:神戸電子を受験しようと考えている方のために、授業では何を学んでいるか教えていただけますか?

稲継:わたしはいまWebデザインを専攻しています。Illustrator、Photoshopなどのソフトを使用して描画表現を学び、さらにHTMLやCSSを駆使して、実際のサイトづくりにも取り組んでいます。ただ、いかにカッコいい、かわいいサイトをつくるかだけではなく、どうデザインすればユーザーが使いやすく感じるのかを重視しています。これがなかなか難しいのですが。自分ではよいものができたと思っても、いざ先生に見ていただいたら「使いにくい」って言われることも。自分の思い込みにとらわれず、いかに客観的な視点をもてるか。デザインは本当に奥が深いなと日々感じますね。

 

————:グラフィックデザインの対象は、紙とWebに大きく分けられますけど、神戸電子は紙とWebのデザインで学科を分けていないのが特徴です。コース選択はありますけども。入学前、あとは入学後で、紙とWeb、どちらのデザインを中心に学ぶか、意識の違いはありましたか?

稲継:最初は紙一筋でいこうと思っていたのですが、1年生の時に受講したWebの授業が想像以上に楽しくて。興味がなかったんじゃなくて、その業界のおもしろさを知らなかっただけなんだと気づいたんです。それで、Webコースを選びました。けれど、内定をいただいた就職先は印刷会社なんですけどね(笑)。

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————:Web専攻だったのにですか?

稲継:Webデザインを一通り学んだうえで、それでもやっぱり紙媒体を仕事にするのが、わたしには向いていると思ったんです。これは人それぞれなので、わたしのケースはあくまで一例に過ぎません。ただ、神戸電子では紙もWebも両方学べます。就職先は紙媒体が中心ですが、Webデザインのスキルをもっているのは、実力の底上げにも、自信にも繋がるので、Web専攻でよかったなあと思います。

 

————:なるほど。学校としても、あえて紙とWebを分けていなかったのですが、まさに稲継さんのようなキャリアを描けることが可能です。紙かWebかの二択ではなく、紙もWebも、というふうに業界を越境する能力も重要だと考えています。ちなみに、就職先の印刷会社では、具体的にどのようなお仕事をするのですか?

稲継:内定をいただいたのは、神戸市内にある老舗の印刷会社です。わたしが働く予定の部署は、この春から新しく設けられる部署で、いわゆる1期生になります。印刷会社というと、発注を受けて印刷を行うというイメージがありますが、新設される部署では、会社内でオリジナルの企画を考え、商品づくりをしてお客様に販売していく予定です。

 

————:それはおもしろい!やりがいがありそうですね。

稲継:そうなんです。クリエイティブの根幹の部分を内部で制作するため、責任感は課せられますが、そのぶん創造性の高い取り組みができるのではと楽しみにしています。

 

————:グラフィックデザイン学科は、産学連携が多い学科です。学生とはいえ、企業とコラボレーションするなかで、レベルの高いクリエイティブが求められることも多かったでしょう。培ってきた力がきっと役に立つと思いますよ。

稲継:コラボレーションをする機会はたくさんありました。たとえば、神戸の地産地消を応援するイベント「みなとマルシェ」のポスターづくりをしたり、神戸活性化のためのパーティーイベント「KYKK(金曜の夜は神戸で決まり)」のリーフレットを制作したり。分野を越えて、声優タレント学科の学生と、CDジャケットのデザインをすることもありました。

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————:CDジャケットの制作で、賞を受賞されたこともありますよね?

稲継:今年、15回を迎える「エンターテインメントパッケージアワード」という音楽CDジャケットのデザイン賞があります。学生限定で競うのですが、専門学校だけではなく、全国の美大・芸大や高校からも応募される大会です。わたしは昨年参加し、アイドルのオムニバスCDジャケットをデザインするという課題で、準大賞をいただきました。全国より1215作品の応募があったなかで選んでいただけたので、受賞の通知をいただいた時はとてもうれしかったですね。さきほど福岡校長が仰った通り、グラフィックデザイン学科は企業と連携した授業や対外的な関わりのなかでデザインを学ぶ機会が多い学科です。パッケージアワードのようなものに積極的にチャレンジするなかで身につく力もあると思います。

 

————:さて本題ですが、昨年の技能五輪「第9回 若年者ものづくり大会」では優勝を果たしました。それについて教えていただけますか?

稲継:「若年者ものづくり大会」は、20歳以下の人限定で、さまざまな技能レベルを競う競技会です。建築や工業製品の設計に使用されるCADや、木材加工、電子回路組み立てなど、14の競技職種があり、わたしはそのなかのグラフィックデザイン部門に出場しました。

 

————:具体的な競技内容は、どのようなものだったんですか?

稲継:「ホエールブック社」という架空の出版社のブランディングデザインをする、というのが競技の課題でした。会社のロゴマーク、名刺、DM、マスコットキャラクター、Tシャツ、5つのデザイン課題を5時間の制限時間内で制作します。その後、デザイン案をもとに、3分間でプレゼンテーションを行います。制限時間がくると、作業やプレゼンテーションが途中でも切られてしまいます。そして、デザインとプレゼンテーションを採点され、その合算で競う、という内容です。

 

————:時間制限がある、というのは厳しい条件になりますね。稲継さんはどのようなコンセプトでデザインをしたんですか?

稲継:「ホエールブック社」は、絵本を出版する会社で、ターゲットはおしゃれに敏感なおかあさんたち、という設定があったので、まずはターゲットの注目を集め、ブランド認知を高めるにはどういったアウトプットがよいかを考えました。そこで、色は明るい青色と黄色を採用し、「ホエールブック社」の名にちなんで、クジラのキャラクターを作成しました。クジラは、口を開けたときの歯が本の束になっているという仕掛けがあります。また、海外の方へも知ってもらえるよう、名刺は日本語と英語を裏表で表記しています。

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————:なるほど。デザインがきちんとロジックに落とし込まれていますね。そのなかで優勝を勝ち取ったと。気持ちの面ではどうでしたか?

稲継:普段は時間に余裕があるなかで制作していますから、とても緊張しました。大会への出場は、先生から挑戦してみないかとお話をいただいたのですが、自信は全然ありませんでした。本当に不安しかなくて。終わったあとはホッとしました。優勝だとわかった時も、あまり実感がなかったです。あでも、やればできるんだなぁって思いました(笑)。

 

————:しかも、今回は優勝した稲継さんだけではなく、準優勝も神戸電子の学生さんでしたね。神戸電子からの出場者は稲継さんと準優勝の樋口さんだけだったので、2人出場して2人が受賞。しかもワンツーフィニッシュ。すばらしい結果です(笑)。

稲継:ありがとうございます。樋口さんとは同じ学科なので、この大会をきっかけにいっそう仲よくなりました。

 

————:それはいいですね。切磋琢磨できる友だちがいるのは、本当に大切なことですから。さて、優勝した稲継さんは夏に開催される「技能五輪国際大会」に、日本代表として選抜されました。開催地はブラジルですね。神戸電子の学生が世界のフィールドで戦ってくれるのは本当にうれしいです。でも、春から仕事ですよね。出場は大丈夫なんですか?

稲継:就職先の企業がとても理解のある会社なので、歓迎して「ぜひ行っておいで」と仰っていただけました。不安なのは英語が苦手なことです(笑)。

 

————:それはよかった。語学力はブラジル行きまでに頑張ってもらうしかないですね(笑)。最後に、今後のデザイナーとしての目標を教えてください。

稲継:正直、いろんなものをつくりたくて決めきれません、というのが本音です。今後は業種を問わず幅広いクライアントとお仕事をさせていただけるので、その業界の背景や企業の描くビジョンを学んだり、多くのことを勉強していきたいと考えています。

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————:頑張ってください。春からの就職、さらに「技能五輪国際大会」でのご活躍を期待しています!本日はありがとうございました。

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東京ゲームショウで再会した「夢のゲーム」

2014.12.19

CATEGORIES:国内 ,学校・教育

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千葉の幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ」が今年も大好評のうちに幕を閉じました。総入場者数は25万人超! 今年は国内外から421の企業や団体が参加し、過去最高の出展数だとか。世界中でプレイされているコンピューターゲームの一大祭典が、この日本で開催されているのは誇らしいことです。

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著名ゲーム企業が多数ブースを連ねるなか、神戸電子の学生たちもブースを出展しました。教育機関のなかでもいち早く東京ゲームショウに参加し、今年で16年連続の出展になります。
ブースでは、PC7台とNexus 7を1台使い、学生たちが制作したゲームを紹介しました。実際にプレイすることもでき、多くの来場者が訪れてくれました。ありがたいことです。

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かつて私もゲームソフト会社で働いていた経験があるので分かるのですが、自分たちが思いを込めてつくったゲームも世に送り出した途端、自分の手を離れていきます。たとえば、ユーザーがどんな風にプレイしているのか、どんな表情で画面に向き合っているのか……それを確かめる機会は意外と少なかったりするものです。
ゲームショウは、自分たちがつくったゲームをユーザーがプレイする、それをリアムタイムで見ることができる貴重な場です。ものづくりにおいて、「使い手」の顔を近くに想像できる人は、優秀な「作り手」になります。ゲームソフトを制作し、出展し、ユーザーの反応にじかに触れることができるこの体験は、学生たちにとって大きな財産になるでしょう。来年も楽しみです。
さて、僕はゲーム会社で働いていたと前段でも説明しましたが、かつて構想していたゲームのコンセプトが今年、スマホゲームとして発表されました。そのゲームが「東京ゲームショウ」に出展していたので、少しこれにも触れておこうと思います。
だいぶ昔の話になりますが、僕は専門学校と大学の両方を経験しました。当時あった神戸電子の夜間部で学んだプログラミング技術を手に大手ゲーム会社に就職し、ゲームソフトプログラミングの仕事をしていました。世界的ヒットになった「メタルギア」シリーズ初の海外版「Snake’s Revenge」の開発チームにもいたんですね。余談ですが、海外ではミリオンヒットし、その後の「メタルギア」本体にも影響を与える分岐点のような作品になったといわれています。ボス敵プログラミングと後半のマップを担当しました。
本題に戻りますが、その後、仲間とベンチャー企業を立ち上げて、自分たちのアイデアをゲームとして世に送り出そうと動いていた時があるのですが、残念ながらそれはカタチにできませんでした。ところが今回、その20年以上前の構想を元にして世に出たゲームが、今回出展された「NAZO」です。当時の仲間であり主たる発案者が、そのアイデアを土台に温め続け、実際のゲームとしてカタチにしてくれました。
「NAZO」は、サイバードという携帯電話向けのサービス配信を中心とした会社からリリースされています。名前のとおり、謎解きがメインのアドベンチャーゲーム。ティザーサイトはこちらでです。映画の『MEMORIES』『鉄コン筋クリート』などを手掛けたアニメーションスタジオ「STUDIO4℃」や、日本を代表する編集者の松岡正剛など、そうそうたるメンバーが制作チームに名を連ねていることもあり、業界では話題になっていたようです。ビジュアルやストーリー、音楽、どれも手を抜かずクオリティが高く、単にコンシューマーゲームを真似ただけのスマホゲームとは、ひと味違うワクワク感を得られます。
期間限定で、すべての謎を解き明かしたユーザーには、「宝」なるものが提供されたり(何かは言えないのですが、実物としてもらえる)、ユーザーからの課金が貧困で悩むベネズエラのチャリティ支援に使われたりと、ゲームの世界を乗り越えて、現実世界への波及を狙った意欲作です。
あの時は実現できなかったゲームが、こうして本当に形になるなんて……あきらめずに夢を追いかけることの大切さを教えられたように思います。

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