Digital Works サウンドクリエイト学科 作品上映会

2015.3.12

CATEGORIES:国内 ,学校・教育

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神戸電子の学生たちが2年間の集大成を発表する、年に一度の作品発表会「Digital Works」。
毎年数多くの注目作品が出そろいますが、今年も「Digital Works 2014-2015」が開催され、盛会裡のうちに幕を閉じました。
中でもサウンドクリエイト学科は、5.1chサラウンド立体音響で制作された映像作品ばかり。北野館5階の北野坂スタジオに大型スクリーンが持ち込まれ、臨場感あふれる環境での上映会となりました。

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とりあげたいのは、オリジナルのSF短篇『Lost Underground』、幕間にサウンドクリエイト学科のオリジナルCM、そしてコマ録りアニメーション作品『イッソく~ん!!』と、ジャンルもさまざまな3作品。
 
1本目の上映作品『Lost Underground』は、惑星地底探査船のクルーが調査先の星で未知の凶暴な生物に遭遇してしまう物語。
この作品は昨年の学園祭で、役者が目の前で演技を行い、観客側も探査船の一員という設定でもって作品を楽しむことができるよう、テーマパークさながらの体感形アトラクション形式になっていました。3DCG映像・立体音響・照明、そして演技のコラボレーションでもって「魅せる」作品としてライブ上演されていたんですね。
今回は役者の演技を撮影し、映像を再構築。台詞のアフレコを行い、音響効果もさらに創り込む事で、1本のショートムービーとして見事に生まれ変わっていました。
また『Lost Underground』は、複数の学科との合同作品です。重厚な音楽や音響効果は、サウンドクリエイト学科の学生たちが。宇宙生物や宇宙の情景は、3DCGアニメーション学科の学生が制作。探査船のクルーは、声優タレント学科の学生が演じるなど、さまざまな学科の持ち味が、惜しみなく活かされた作品でした。このように異なる学科とタッグを組んだ大規模な作品創りが出来る事は、まさに神戸電子での学びの強みと言えます。
 
 
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幕間に上映された、サウンドクリエイト学科プロモーションCMは、コメディ要素が満載。サウンドクリエイト学科の学生や教員がシュールな演技を披露し、短時間でクスリと笑えるものに仕上がっていました。CMは映画などと違い、厳しい時間制限があります。15秒や30秒といった時間内で起承転結を組立て、情報を伝えなければいけません。様々な制約があるなか、とても丁寧にまとめられていました。
 
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最後の作品『イッソく~ん!!』は、クレイアニメ調のコミカルなショートムービー。サウンドクリエイト学科の学生たちと、紙粘土でつくられた小さなモグラの「ISSOくん」とのふれあいを描いた和やかなストーリーで、現実世界にマスコットキャラクターが共存する作品でした。
 
コマ割りで撮影された映像、バラエティ豊かな効果音、大きなアクションでコミカルさを表現した学生たちの演技など、ユニークに見せるための工夫が随所に感じられました。物語の終盤、神戸電子で音楽のスキルを得たISSOくんが地下の世界に帰ってゆくシーンは、この「Digital Works」を終え、卒業してゆく学生たちと姿が重なり、思わずジーンときてしまいました……。
 
 
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多くの来場者にも恵まれ、労いの言葉をかけられていた各作品の監督たちは「やりきった!」と安堵の表情ではありましたが、同時に学内での作品制作が全て終わってしまった事への寂しさも見え隠れしていた事も印象的でした。
 
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音創りはもちろん、キャストの手配やシナリオ作成、制作進行、小道具作り、撮影や編集など、本当に沢山の場面でこの2年間の学びが活かされたものになっていたと思います。
サウンドクリエイト学科のみなさん、おつかれさまでした。春からはさまざまなフィールドでこの学科での経験が発揮される事を願っています!

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竣工検査立ち会いで学ぶ 建築のノウハウ

2015.3.12

CATEGORIES:国内 ,学校・教育

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神戸電子本館のすぐ山側(北側)、ホテル北坂プラザ六甲荘の正面に、神戸電子の新しい寮「北野ドミトリ」が完成しました。4階建て全50戸の男子寮です。

建物が完成する際、施工会社と工事監理者、施主によって、建築に不具合がないかを調査する、竣工検査というものがあります。これを通過せずに建物を施主、つまり依頼人に引き渡すことはできません。北野ドミトリーでは2月20日に竣工検査が行われ、そこに建築インテリアデザイン学科の学生諸君が立ち会いました。
 
検査当日は設計や工事をしていただいた和田興産(株)、(有)大土呂巧建築設計事務所、(株)村上工務店の方々が来校。北野ドミトリがどのような設計思想で建てられたのか、竣工検査前に執り行われた消防検査などの報告がありました。入れ替わり立ち替わりで説明を行う方々はすべて建築業界のプロであり、学生諸君が歩む道の先にいる先輩でもあります。竣工検査前の説明会の段階から、学生たちの目は興味津々。資料にメモをとりながら、集中して説明を聞いていました。
 
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説明会の終了後、いよいよ一同は北野ドミトリーへ足を踏み入れます。学生たちは2班に分かれ、居室とエントランス、非常階段などを巡りました。検査項目には定められた法規を満たしているかも多く含まれています。たとえば採光。窓から入ってくる光に対してもルールがあり、部屋の床面積の大きさにより、どれくらいの大きさの窓がどの方角に必要であるかが計算されています。また、ユニットバスも、湯船に水を張った状態から栓を抜き、すべての水がなくなるまでの制限時間がバスタブの大きさによって細かく設定されています。普段の生活では気づかないことが多い細かな制約の数々。「この部分は……」とそれぞれに入る解説にたいし、学生たちはベランダの外側を覗き込んだり、実際に扉の開閉などを試してみたりと、積極的に関わっていました。
 
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設計面でも、多数のルールが存在します。寮やマンションのような集合住宅は、排水パイプなどの配置が特に重要で、生活の邪魔にならず、かつ機能を十分に果たす位置に通さねばなりません。図面を引く際は各部屋の間取りとともに、排水や電気関連の導線をどこに通すかを考える必要があります。今回、施工図面作成に関わったひとりが、入社2年目の女性。学生たちと年齢の近い方が、第一線で活躍しています。彼女の年齢を聞いた学生たちからは「すごい……」と、たじろぐような声も漏れました。プラン作成とプレゼンテーションでは、セミプロレベルの学生諸君も、実際にアイディアをカタチに、つまりものを建てているプロには線の向こう側の何かを感じたようです。卒業後間もなくこうならねば、と触発されたみたいですね。
 
ひとつ一つの施工に設けられた厳しい基準、時には図面に合わせて、壁の厚さや換気口の穴の位置をミリ単位で調整しなければならないことなど、座学でも多少の想像はできますが、実物を前にしての学びは深いものがあったのではないでしょうか。
 
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都市生活において、人は寝ているときも、まちを歩いているときも大抵、なんらかの構造物に囲まれて生きています。そして、住居とは、我々が生きる上でなくてはならないもののひとつです。人間にとって必要不可欠なものをつくる能力があるというのはすばらしいこと。建築インテリアデザイン学科の諸君、以後は竣工検査でもって検査される側に立っするわけです。今回見聞して得たことを忘れずに、是非活かしていってください。

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最新鋭の音を教育現場に ソニックホール音響機材を一新

2015.3.7

CATEGORIES:学校・教育 ,音楽

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北野館地階のソニックホールは、特別講義や学生作品の発表会、校外イベントなどに幅広く使用され、神戸電子の顔となっています。このソニックホールの音響機材が、昨年9月にリニューアルしたのをご存知でしょうか?

今回、スピーカーやアンプ、ミキサーに加え、それらをつなぐケーブル配線も含めたサウンドシステムの全てを一新。スピーカーは舞台両脇の上部から吊り下げるラインアレイタイプになりました。イタリアのアウトライン(OUTLINE)社製、最新鋭のラインアレイスピーカー’マンタス(MANTAS)’シリーズです。

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機種選定は、サウンドテクニック学科に音響技術の特別講師として、教えに来てくださっている株式会社トライオーディオさんと相談して決めました。トライオーディオは関西の会社で、日本を代表する音楽フェスティバル、フジロックフェスティバルで昨年、15ものステージの音響設営と運用を行った、まさに日本を代表する音響のプロです。そこで最も使用されているラインアレイ型スピーカー群がアウトライン社製でした。

このスピーカーの音質特性は、世界各国の音楽シーンで高い評価を得ています。しかし、細かく調整をしなければその上質感は引き出せないという特徴を持っています。加えてラインアレイ型は、高い位置から吊り下げて使用するため、正しく扱うには、吊り下げ部分の安全面を確保しながら、スピーカーを設置したり、その音の調整を行う技術が必要となります。簡単に設置できて、簡単にきれいな音を出せたのでは技術が身につきません。あえて難易度の高いものを教材として使用することで、学生諸君には高い応用性を発揮できる礎的な技術力を習得してもらうことを狙いました。その為に言わば音響界のF1マシンを導入したということです。

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「そもそもラインアレイスピーカーって何?」という方に、簡単な解説をします。

ラインアレイ型の一番の特徴は、広い会場内のあらゆる場所に対し、均一に音を届けれることです。
通常、SR(プロオーディオ/PAの中でも、音楽演奏寄りの音響)用のスピーカユニットは、中高音域を担当するキャビネットと、重低音を担当するキャビネット(サブウーファー)に分かれます。特に前者の方に大きな違いが有ります。

通常のスピーカーは点音源と言われ、一つの点から出た音が縦方向、横方向共に同じ大きさで輪のように広がって行きます。会場が広くなると、これらを縦横に並べて全体の音圧を上げるのですが、それぞれの音が縦にも横にも広がるため、互いに干渉して音の反射が起こったり、スピーカー近くでは大きなハウリングが起こったりと問題が出てきます。
これに対し、ラインアレイスピーカは線音源と言われ、縦(垂直)方向の音の広がりを抑え、横のみに広がる構造を持った比較的小さなスピーカキャビネットを縦にたくさん並べることにより、余分な音の反射を押さえながら、広範囲に純度の高い(混ざりけの少ない)音を届けることができるようになります。

地元神戸の音響機器メーカTOAのWebサイトに良い解説がありますのでそちらもご覧ください。

各スピーカーキャビネットはゆるやかなカーブを描いてステージ前面の高い位置からつり下げられます。このカーブは客席の形に合わせて設定されるため、会場の広さや座席の状態に応じた音の放出が可能です。しかも、いまはデジタル技術により、音が会場内にどれだけ届くのかを事前にシミュレーションすることも出来ます。会場の壁の素材の影響で音が濁ってしまうような場合も、それを解析して改善するソフトウェアがあります。現代の音響テクノロジーは、会場の特性を活かしたり、補ったりしながら、アーティストやエンジニアが、音の表現に対しとても細かな設定ができるまでに進歩しているんですね。

また通常、ラインアレイ化には音声信号のデジタル化が伴います。今回これをフル導入したことでカリキュラムの幅が更に広がりました。舞台でバンドが演奏をする際、ボーカル、ベースアンプ、ドラムなどにそれぞれマイクをあてていきます。ドラムだけでも10本、20本と必要です。これまでは、それら舞台上で拾った全ての音を、ステージから離れたミキサーまで個別に届けなければいけなかったので、舞台上はすぐにコードで一杯になってしまいます。今回、これら数多くの音声信号をステージ側で一旦デジタル信号化し、一本のLANケーブルでミキサー側に飛ばすシステムとしました。舞台上のコードの混乱が無くなり、演奏している人たちにそれぞれ必要な音だけを返すモニター作業もスムーズになります。また、録音や調整もすぐに行えるなど、音楽イベントのあらゆるシーンでのフレキシブルな対応力が格段に上がっています。

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日常、非日常を問わず、生活の中で得る精神的充足感を高めるという大きなテーマに関し、人の感覚器官である五感というものをいかに満足させるかとの関心も高まっています。このうち、神戸電子サウンド分野では、音や声の表現者として、聴覚を心地良くするための取り組みを続けています。今回、国内の教育機関はもとより、中小規模ホールの中でも最先端に位置する音響機材を導入したソニックホール整備もその一つ。

人生のトピックとなるような非日常的なイベントでも活躍する音響技術。これを学ぶ学生諸君には是非、ダイナミックな企画と繊細さ伴ったとことんの質感調整でもって、心地よい音空間を創出できるようになって欲しいものです。

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