神戸の未来を担う場所と文化 「未来都市創造に関する特別委員会」

2015.4.20

CATEGORIES:国内 ,神戸

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昨年、神戸市役所で行われた、神戸市議会「未来都市創造に関する特別委員会」に参考人として呼ばれました。質疑応答含め、3時間にも渡り「若者の集う街」テーマでプレゼンと討論をしたのですが、若い人たちはいつの時代も活気の象徴であり、彼らが集う場こそ「これからを生きていく街」なのだという考えを共有した、とても心地の良い会でした。このテーマ、全国的に若者が急激減少する今、市町村問わず優先して向き合うべきものではないでしょうか。次回5月11日の「未来都市創造に関する特別委員会」市民報告会に先立ち、前回の様子をお伝えしたいと思います。

若者が集うためのアイデアとして、2つのことを話しました。豊かな市民活動を享受する「場」の必要性と、上質な音環境を尊ぶ「文化」についてです。
 
国土交通省が発表した「国土の長期展望」はご存じでしょうか。直後に東日本大震災が起こったため、一般紙では大きな扱いとなりましんでしたが、多方面で議論が百出しました。国は2050年には全国6割もの市町村の人口が半減すると予測。半減….. 教育や医療といった重要な生活インフラが維持できなくなると言っているわけです。そんななか、東京、名古屋、大阪、沖縄のみは、今よりも人口が増えるとも予測。今以上にある種極端な都市化が進むとしています。この予測を好む人は少ないが、まぁそうなるのだろうねと受け入れている人が多いように思います。
「街づくり」は人口問題と切り離せませんが、とくに若い人は、次の時代を担い、地域再生のカンフル剤のような役割も担う存在です。では、どうやって若い人を集めるのか?

若いエンジニアやクリエイターを集めることからはじめてはどうでしょうか。あらゆるビジネスがソフトウェア化していく今、企業誘致と同じかそれ以上の熱量でもって推し進めるべきは、高い技術力を持つエンジニアと、とてつもなく面白いクリエイター達の誘致だと考えます。クラウドをとことん活用し、オフィス不要。ビジネスや生活向上に向けた面白いアイディアを、自分たちの手でどんどん’カタチ’にしていくことができる人たち。社内ではなく、アウトソース先のパートナーとして、各地に雇用も産み出せるような人たち。ネットやITがどんどん世を変えていく世紀(真のIT革命はまだまだこれからです)の成功の鍵を握る存在といえるでしょう。彼らは全国どこでも好きなところに住む場所を選ぶことができる。寛容性が有り、とにもかくにも心地よい場所を求めるはずです。
彼らが惚れ込み、住みたくなるような環境をつくり、インフルエンサーとして神戸の魅力を若い世代に発信してもらう。企業のマーケティングも最初の一歩はターゲットを定めることからはじめますが、神戸が今、注力すべき’顧客’(ニーズをウォッチすべき対象)はエンジニアリングやクリエイティブな力をもった若者たちではないでしょうか。
この視点は、これまで別個であった産業振興(産業誘致)施策と住民生活環境整備施策が同じになるという大きなメリットを産み出します。

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重要なのは「場」の魅力です。具体的な施策として「デザイン都市・神戸」創造会議でもお話した「東遊園地公園の芝生化」などは小さなものですが、神戸の心地よさを格上げし、対外的な発信に一役かうものだと思います。市民が良い意味で、まちを所有する感覚を持てるよう、日常的なイベントが多発するアウトドアリビング的な公園として再生したいものです。このコンセプトは、神戸モトマチ大学の村上さんや、神戸R不動産の小泉さん達と議論する中で生まれました。

ニューヨークの「ブライアント・パーク」のように、Wi-Fi環境を整備できれば素晴らしいです。海外によく出向く方はご存知だと思いますが、日本は無料のWi-Fi環境の整備が遅れています。都心の公園に、誰でもWi-Fiを使うことができる公園があれば、平日にクリエイターたちがノマドワークをしたり、休日には家族を連れて余暇を過ごしたり、市民団体がワークショップを行うこともできるでしょう。市民で「シェアする公園」が、新しいアイデアやビジネスを生むプラットフォームになるという発想です。「東遊園地公園に行けば、何かおもしろいものや人に出会える」。これが神戸の常識となれば、世代を超えて、都心から同心円上に活気が広がっていくのではないでしょうか。

産業資源の集積に加え、こういった生活の心地よさが高まっていくことの重要性を強く感じます。実際、アメリカの若いクリエイターたちは、ナイトライフに乏しいシリコンバレーから、コワーキングスペースが豊富で、ファッションをはじめ文化の成熟したサンフランシスコに続々と移住しています。

今の日本では、それぞれの市民が公共の場所を「保有」するという感覚は薄いように思いますが、これからの若い人たちは、こうした「場所」を求めているのだと思います。

もう一つのお話。音楽や音を尊ぶという「文化」についてです。
(以後、追記します)

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