【企業研修レポート】3DCGアニメーション学科東京企業研修(初日編)

学校からのお知らせ

2013.12.18

2013/10/3~10/4、 神戸電子専門学校3DCGアニメーション学科の学生28名が各班(A・B・C)にわかれ、東京業界研修に参加しました。 この研修は、毎年この時期に行われており、今春入学をした1年生の学生たちにとって非常に楽しみにしているイベントのひとつです。 東京の著名なゲーム制作企業、3DCG映像制作企業、工業デザイン系企業などを訪れ、現場で働く方々に直接様々な角度からレクチャーを受けたり、持参した学生の作品を直接指導して頂いたりして進めていきます。学生達にとって非常に刺激的であり、今後の作品制作、就職活動に有効になる内容が盛りだくさんです。 今年、3チームで訪問させて頂いた全企業は以下の通り。まずは下記の企業様の中から初日に訪問しました企業様6社のレポートを記載します。

■ゲーム制作企業
comcept
サイバーコネクトツー
フロム・ソフトウェア
■3DCG映像制作企業
アバン
アニマ
N-デザイン
カナバングラフィックス
神風動画
白組
デジタル・フロンティア
NAKED
ポリゴン・ピクチュアズ
■工業デザイン系企業
円谷プロダクション

 

(Aチーム初日・1社目) 訪問企業:神風動画

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お昼頃学生たちは東京に到着し、Aチームは神風動画が所在する原宿へ移動。原宿駅から徒歩十数分で現地に到着しました。 同社は、「ジョジョの奇妙な冒険」のアニメのオープニングCGやドラゴンクエストⅨのオープニングCG等、著名なタイトルを多く手掛ける企業で、代表取締役社長、水崎氏による業界セミナーも今年の8月に当校で開催されています。

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今回は、そのセミナー受講生の中から10名を引き連れての訪問となりました。 「どんなところで、どのように制作しているのか?!」が、学生にとって、非常に関心が高い部分でした。 O

到着後、早速20名ほどのスタッフが制作している現場をじっくりと見学させて頂きました。 学生達は、「ここで、驚愕の作品群を生み出してるのか!」という思いで、現場の空気を肌で感じていたようです。 業界研修は、「現場を肌で感じる」ところが一番の醍醐味ですね。 O

当日対応いただきましたクリエイターの方は、同社開発ディレクターの横嶋氏。社内見学後、会議室へ入り横嶋様の説明が始まりました。同社が製作してきたタイトル映像を多数見せて頂きながら、重要な開発POINTの解説も交え丁寧にプレゼンテーションしていただけました。 O

同社の特長は、少数スタッフなので、仕事の幅が広いという部分があります。これは、社員さんとって非常にやりがいを感じる部分であるように思います。 背景担当であってもキャラクターモデルをすることもあったりなど、 手描き要素もふんだんに取り入れた業務も非常に重要なスキルになります。 次に、3D(LightWaveを使用)で全て仕上げていない点。素材を細かく分け、多レイやでコンポジット(合成)で仕上げをしている部分など興味深い部分ですね。 横嶋氏がとくに重要である、とあげられていた部分は、 「期限までに必ず仕上げる」こと。 また、横嶋氏は「毎年、新人を募集しているので是非多くの方に応募して欲しい!」とのこと。 それらの話を聞いている学生たちはかなり真剣に聞き入っていました。 初日の1社目から熱い思いを抱けたと思える見学でした。 O O
●帰る前に同社玄関前で集合写真

 

(Aチーム初日・2社目) 訪問企業:デジタル・フロンティア

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次にAチームは原宿から渋谷へ電車で移動して徒歩10分程度で現地へ到着。 到着後、いつもお世話になっている管理部の渋谷様より会社概要説明を受けました。 近年ほぼ毎年当校にて業界セミナーを行って頂いている同社。2012年夏は、「おおかみこどもと雨と雪」などのCGメイキングセミナーなども行って頂いたのは記憶に新しいです。2013年度は、お忙しい年であったためセミナーは開催されませんでしたので、その分、学生たちはお話が聞けることを非常に楽しみにしていました。

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デジタル・フロンティアの特長としてあげられるキーワードは、 ・総合映像プロダクション ・長編フルCGを得意とする ・精査な3Dスキャナ完備 ・アジア最大クラスのモーションキャプチャースタジオ常設 など。 お話の最後で「当社が求める人材像」を丁寧に解説していただけました。この人材像のキーワードとしては、積極的なコミュニケーション、協調性、聞く姿勢の大切さなど人間力を重視した内容が伺えました。これは学生達にとって「答え」が聞けたわけであとは制作力をつけて挑めば十分に採用に繋がる可能性があります。同社は非常に人材を大切にし、育てようという部分に力を入れているようです。クオリティアップ研修、OJT、福利厚生など、他社ではあまりないような部分は魅力的でした。

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渋谷氏の説明後は、学生の年齢に近いデザイナーとプロダクションマネージャーの方々が仕事の合間を縫ってお越し頂いて質疑応答を丁寧に行っていただけました。 学生たちはそれぞれの思いで質問を投げかけ、貴重なアドバイスを沢山頂いていました。 特に、2年生の学生が作品応募する時の合格ポイントとなる部分の解説は非常に有り難いアドバイスでした。 是非、来年は学生達に作品DVDをしっかりと仕上げさせて応募させたいと思いました。 Aチームは、初日、この2社で終了し、宿舎となる「国立オリンピック記念青少年総合センター」へ向かいました。

翌日の訪問予定企業は、サイバーコネクトツーカナバングラフィックスポリゴン・ピクチュアズの3社の予定です。

 

(Bチーム初日・1社目) 訪問企業:N-DESIGN Nデザイン1

杉並にあるN-DESIGNを訪問しました。同社は映画、ドラマなどにおけるVFX制作やゲーム等におけるCGムービー制作等を手がけるCGプロダクション。
テレビドラマ「ATARU」や映画「SPEC~結~」等著名なタイトルをのVFX制作を多く手掛けています。
初めに制作全体の流れ、そしてそれぞれの職種、業務内容の説明を受けました。 求められるものとしては、 ・基本的な観察力 ・合理的な作り方 ・基礎とオリジナリティ が重要と説明をされ、特に観察力を鍛えるお話の部分はとても印象深く、学生たちは一言も聞きもらすまいと真剣に聞き入っていました。 Nデザイン2

とにかくたくさんの映像を見ることが大事で、 映画などの作品を見る際は、 それぞれの制作目線で(モデラー、モーション、ライティングなど)見ると今後の制作の参考になるので試して欲しい、また 学校の課題では、その応用編も自分で工夫してみるようにするのが大切ですと学生たちへ大変貴重なアドバイスも頂きました。

Nデザイン3

研修制度も充実しており、その中でも特に教育に力を入れておられ、新卒採用選考を通過したCG未経験の学生でも「早く仕事にアサイン出来るラインまでもっていく」と説明され、内定した学生に対してもしっかり研修制度を設け入社に備えるとの事でした。
印象的だったのは、2012、2013年度新卒採用選考では学生の伸び代を見たので、 2014年度新卒採用では初期の頃の作品と最新の作品を両方持ってくる良いと説明され、 またポートフォリオは同じものでも 企業によって評価がかなり分かれるので、 早めに応募する企業を選定しておき、その企業に合わせたポートフォリオ制作がポイントですと、これから就職活動をする学生たちにとって、今回の訪問で初めて知ったことも多く、とても参考になるお話でした。 DSC_1629■

社内には今まで関わってきた作品のポスターやパネル、フィギュア、DVDなど多数あり基本的にはどんなジャンルの仕事でもするが、今年はドラマ、映画のVFX制作が多いと説明を受けました。将来、海外の大手VFX会社と肩を並べ仕事をしていくため、分業制をはじめあらゆる面で、改革をしていると説明していました。現在のスタッフ数ではなかなか完全に分業して進める事は難しいですが、近い将来分業された各工程にスペシャリストが揃ってくれたらいいなとのお話しでした。

 

(Bチーム初日・2社目) 訪問企業:円谷プロダクション LIGHT SCULPTURE STUDIODSC_1672 ■ウルトラ
(c)円谷プロ

 

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(c)円谷プロ

円谷プロダクション LIGHT SCULPTURE STUDIOで ご対応いただきましたのは、以下の3名の方々です。
映像事業本部 制作部 LSS チームリーダー 澗淵様
管理本部人事総務部長 小北様
管理本部人事総務部 アシスタントマネージャー 三浦様

円谷1
●3Dプリンターの前で解説をしてくれるチームリーダー澗淵様

同社は、「ウルトラマンシリーズ」などを手掛ける独立系映像製作会社です。今回は3Dプリンタのお話をして頂きました。 4年前くらいからデジタル造形を取り入れられているそうです。 最初は時間短縮やコストダウンのための導入だったそうですが、それらに余裕が出来たことで、 今までやりたいけども出来なかったことにも挑戦できるようになったとのことです。 また特撮用のスーツなどは材質の関係上数年で劣化してしまうため捨てなければならず、 今までは後世に形そのものを残すことができなかったが、 3Dスキャナを使い、その形を保存することや、 今では実際にスーツをスキャンして作ったフィギュアなども、商品化され販売していると説明を受けました。

円谷2

また店頭での巨大モニュメント(フィギュア)では、 今までは、職人さんが手作業で発泡スチロールから削り出して制作していたため、 どうしても仕上がりにムラがあったが、今は3Dプリンタからスキャンしたものを、強化プラスチックに素材を変え出力し、 手で磨くことにより、どの店舗にもクォリティの高い精巧なものが置けるようになったとのことです。
※須賀川駅前にある「福島県須賀川市」と「M78星雲 光の国」の姉妹都市提携を記念した ウルトラマンのモニュメントの制作にもデジタル技術が使われています

今のところは、それまでの技術者が独学で、上記のデジタル技術を取り入れ制作しているが ゆくゆくは3Dプリンタ技術者の採用もあるかもしれないとのことで、 ただモデリングするだけでなく、立体で出力する為の技術を是非学んで欲しいとメッセージをいただきました。 円谷3
(c)円谷プロ
円谷4
(c)円谷プロ

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(c)円谷プロ

見学では使用している3Dプリンタや、実際に出力したまま状態のもの、 半分だけ磨いたものや塗装を仕上げたものを手にとって見せていただいたり、 ウルトラマンやブースカなどおなじみのキャラクター造形物の作業風景を見ることができ、 学生たちにとっては、非常に貴重な体験となりました。
実際の作業中にお邪魔しているにもかかわらず、スタッフの方も気さくに対応してくださったので、 最初は緊張していた学生たちでしたが、 部屋にあるフィギュア(かなりレアなものも)などの造形物にテンションが上がり、 マニアックな話題も飛び出し、澗淵様も「ずいぶん昔のをよく知っているね」と驚かれるほどでした。

最後には全員にお土産もいただき、非常に有意義な訪問となりました。 現在、学生たちはこれらの刺激や経験・アドバイスを参考に、卒業・進級制作に向けて頑張っています。 東京業界研修レポート後半及び卒業・進級制作発表会「Digital Works 2013-2014」(2014年2月中旬開催予定)の レポートもご期待ください。Cチームの翌日の訪問企業は、ゲーム制作企業1社、サイバーコネクトツーと3DCG制作関連企業2社、アバン白組です。

 

 

(Cチーム初日・1社目) 訪問企業:comcept(コンセプト)

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昼食後、Cチームは、ゲーム企画・制作企業comceptに到着。 comceptは、世界的に著名なゲームクリエイター、稲船 敬二氏が設立した企業。 その稲船氏から直接企業説明や、レクチャーが受けられるとのことで到着時点から学生達はドキドキ、ワクワク状態でした。     滞在予定は1時間程度で、最初の20分はブランドマネジャーの中村氏よりムービー を中心とした会社紹介があり、そのあとに稲船氏が登場されました。0.5 4
●comcept CEO/コンセプター 稲船 敬二氏

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稲船氏からの最初のお話は、「面接に対する心構え」。 根性、やる気を重視し、面白いやつを採用したい、とのことです。 また、稲船氏は現在の会社に関するお話の中でこう語っていました。 「コンパクトな会社には、大企業にはない良さや面白さがある。これは大企業とコンパクトな会社の両方を経験したから思えることだ。」とコメント。また、会社選びに関してのアドバイスとして、1つ目に「社長の考え方を理解して、会社選びの際に社長の考え方を気にしてみるのもよい」、2つ目に「東京に企業が多いので東京中心に考えがちであるが、地方のほうが良い部分も多々あるのでしっかり見極めることが大切です。選択肢を広げて活動してください」といっておられました。 稲船氏のお話は、聞いている方々を強く引き込む力があるため、学生達はこういったコメントを真剣なまなざしで聞き入り、心にとめている様子がはっきりと伺えました。

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また、稲船氏がデザイナーとして、カプコンの入社試験を受けたときの経験談を披露していただけました。 「自分なりに他者と差別化を図るために、通常、採用試験に持参するものは卒業課題のみが多い中、自身のオリジナルキャラを描いたスケッチブックを3,4冊持参して面接官に見ていただいた。こういったことをしている受験者は全くおらず、当然のごとく、勝ったよ」とのことです。また、カプコンでの自身の成長に繋がった部分の1つとして、「他の社員の6倍の速度で仕事ができたので、人の面倒をみることができたこと」とのこと。その他、様々な自身のエピソードを話していただき、学生の時、また、社会人になってからの大切な事を伝えて頂けました。 最後は、学生からの質疑に対する応答をして頂きましたが、たくさんの学生が質問を投げかけていました。 本当に貴重な時間であったと感じております。

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●セミナー後に稲船氏と学生記念撮影

 

(Cチーム初日・2社目) 訪問企業:アニマ comceptの近隣駅、品川駅からJR山手線に乗車して約20分で、高田馬場駅に到着。そこから徒歩10分程度でアニマに到着しました。
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対応して頂いたのは、プロデューサーの木村 直人氏。 7
到着後、まず木村氏より、会社概要説明がありました。手掛けた作品の紹介や、部署、その役割等の説明です。

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説明後は、社内見学の案内をしていただけました。 会議室、エントランス、モーションキャプチャースタジオ、社員用リラックスルーム(休憩室)、開発ルーム等になります。

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●エントランスでの説明を受ける学生達

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●モーションキャプチャースタジオ

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●休憩室の案内を受ける学生達

社内見学終了後は、木村氏より見学前に依頼された課題「歩くモーション」に対しての作品指導会が行われました。 学生たちそれぞれが工夫した「歩くモーション」の作品を、学生たちが複数のグループに分かれ、現場のクリエイター の方々から指導を受けることができました。 14 15 12

1人1人にたくさんの時間をかけて頂く指導は、参加した学生達の将来における大きな糧になったと思います。 Cチームの翌日の訪問企業は、ゲーム制作企業2社、サイバーコネクトツーフロム・ソフトウェアと3DCG制作関連企業・NAKEDです。

以上、3チームに分けての見学会初日6社のレポートとなります。 2日目は各チーム、午前中から夕方にかけて3社訪問しました。そのレポートは後日後編として掲載していく予定です。

関連リンク
アニマ
アバン
N-デザイン
カナバングラフィックス
神風動画
comcept
サイバーコネクトツー
白組
円谷プロ
フロム・ソフトウェア
デジタル・フロンティア
NAKED
ポリゴン・ピクチュアズ

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