2017年 3DCG・アニメ業界スペシャルセミナー総集編②~東映アニメーション野口氏~

学校からのお知らせ

2017.10.23

『楽園追放』や『正解するカド』のプロデューサーが登壇!
実例をもとに、CGアニメーション制作の裏側を解説

17_416_05_R

2017/4/16(日)、東映アニメーション株式会社 野口光一氏が来校し、CG・アニメ業界セミナーが開催されました。野口氏は、さまざまな映画でVFX制作(Visual Effects/映像制作における特殊効果)を担当。2014年のアニメ映画『楽園追放』や、2017年、テレビ放映された『正解するカド』ではプロデューサーとしても活躍されています。今回のセミナーでは、そうした作品のVFX、3DCGを実例に、アニメにおける3DCGの歴史、そして現在を語っていただきました。
17_416_55_R

アニメブームのまっただ中にある今、2016年のアニメ作品数は過去最大だったそうです。大量のアニメ制作を可能にするため、ゲームエンジンなどを使ったCGアニメーションも増えていると言います。「どこの会社もCGアニメーター不足が深刻で、アニメ業界とゲーム業界の交流は、今後さらに深まっていくと思います。日本ではフルCGのアニメ作品は少ないですが、アニメの作り方においては、今、転換期とも言えますね」。

日本で初めてアニメーション映画が公開されてから今年で100年。『鉄腕アトム』や『AKIRA』、『アップルシード』などエポックメーキングな作品を例に、アニメの歴史と3DCGの進化が紹介されました。『正解するカド』でも、メインキャラクターはCG中心で、背景の一部やモブキャラなどは手書きで表現されているそう。実際のシーンを例に、下絵と完成画を比較しながら解説してくださり、学生たちも興味深く耳を傾けていました。
17_416_45_R

アニメ制作における3DCGの技術については、今やっと、ある程度の完成に近づいたと言います。「それでも、キャラクターの喜怒哀楽など、豊かな表情をCGのみで表現するのは、まだ難しいんですよ」

また、『ゲゲゲの鬼太郎』が放送された1960年代〜2000年代、5つの年代の作画を順に紹介。モノクロからカラーへ、線の変化や線数の増加、影の表現、デジタル化など、アニメや作画の進化を具体的に見ることができました。
「CGアニメーションの普及は、ソフトウェアの価格が下がったことやPC側の処理能力が上がったこと、大量生産できるようになったことが大きい。今後は、ディズニーやピクサーといった海外のフルCGアニメーションとは違った、日本独自のCGアニメーションの表現にシフトしていくのではないでしょうか」。

個別作品指導
セミナー終了後は、学生一人ひとりに時間をかけて、丁寧な個別指導も実施してくださいました。普段では、なかなか業界TOPクラスの方々からの直接指導を受ける機会はなく、この時間は学生にとってモチベーションアップにつながる、かなり貴重な時間でした。17_416_86_R17_416_78_R

 

自分で選んだ分野をしっかり学び
“確実に習得した”という経験をしておく
17_416_72_R

東映アニメーション株式会社
プロデューサー
野口 光一氏

技術は進化していますが、作画の味が好きだという人は必ずいるし、すべてがCGに置きかわる日は、そう簡単には来ないと思いますよ。セルルックとはいえCGが手描きを超えていない部分も相当あって、例えば、着替えのシーンなど、モデリングが必要で手間もコストもかかる。得手、不得手があるので、今後もうまく共存していくでしょう。
学生の皆さんは、アニメならアニメ、CGならCGで、自分自身が選んだものをしっかり勉強してほしいですね。働き始めても、学ばなければならないことはたくさんあります。制作ソフトひとつとっても、作品によって違ったり技術がすぐに進化したりと、常に勉強です。その時、あれこれ手をつけずひとつの事を習得したという、今の経験が自信になり必ず役に立ちます。
あとは、どんな作品にも臆さず関われるよう、日頃からさまざまなことに好奇心を持って、幅広い情報を仕入れておいてください。

(関連サイト)
東映アニメーション
正解するカド公式サイト
神戸電子専門学校 3DCGアニメーション学科

SHARE
  • LINE
  • Facebook
  • X
  • Youtube